Zoom配信の際はコントロール感に注意しよう

コントロール感と言う言葉を聞いた事はありますでしょうか?
形のある物を売る仕事と違い、サービスを売る仕事をしている際に相手に提供しなければならないのが、サービスの質と言う形のない物ですよね?
形のある物であれば、どんなに販売店がダメだったとしても、物がきちんと提供されていれば一定の満足は得てもらえます。
でも形のないサービスを提供した際により満足感を与えられるか否かが、このコントロール感の有無で決まるのです。
ではコントロール感とは何かと言うところから見ていきましょう。
コントロール感って何?
コントロール感を簡単に言いますと、自分の意思で物事をコントロールしたいと言う欲求のことです。
人間はやりなさいと命令されると多かれ少なかれ抵抗が生まれます。
相手がどんな立場、やる内容がどんなにやりたかった事であっても、命令と言う形であればこの抵抗が0なんて事はありません。
いいかげん勉強しなさい→言われたからやる気なくなったわ
このケースの「言われたからやる気がなくなる」に本当はやる気があったかどうかなんて疑わしいですが、このような事が実際に起こるのです。
70年代に行われた介護に関する実験でこんな事があったそうです。
老人たちを二グループに分け、一方はスタッフがなんでも決めて動いてもらう。
もう一方は自分たちで決めて動いてもらうようにします。
この時、自分たちで決め、動いた人たちの方が満足度や健康状態にプラスの効果が見受けられたそうです。
そしてさらに約一年後のデータをとった際には、スタッフがなんでも決めていた方の老人たちの死亡率が高かった事までわかったそうなのです。
つまり、自分の意思で物事をコントロールしたいと言う欲求は、一瞬の感情だけではなく、身体にまで影響があると言う事なのです。
そしてこのコントロール感は、命令された時だけの物ではありません。
命令ではないものの、相手に選択の余地がなかった際も同じく自分でコントロールできなかったと感じ、欲求が満たされないのです。
つまり相手がコントロールしていると感じる余地を与える事が、満足度の向上には重要と言う事です。
コントロール感を奪ってしまいやすいのがZoomなどのウェブ配信
Zoomなどウェブ配信をする際に注意しなければいけないのが、このコントロール感を奪ってしまいやすいということです。
これはZoomでミーティングや大規模の講義をする際にはあまり気にしなくてもいいのですが、少人数レッスンタイプの使い方をする際に起こりえます。
Zoom配信につきものといえば、相手の話し始めのタイミングと自分の話し始めのタイミングが被ってしまうこと。
お互いが、「あっ」「どうぞ」となるケースを実際にZoomを使われた事があれば経験していると思います。
ウェブ配信に慣れてくれば臨機応変に対応できるようになるのですが、慣れていないうちは相手を遮ってどうしても自分の言いたいこと一方的に言ってしまいがちになります。
そうすると、相手はその講義に対してコントロールできたと感じる事はありませんね。
つまり、その講義に対して満足できていない可能性があると言う事です。
講義のプログラムを作る際は必ず、あえて相手の意思を話せる余地を作っておいてください。
あるとないとでは大違いなのがコントロール感なのです。
どんなシチュエーションにおいてもお客様のコントロール感は意識するようにしよう
最初に書いた通り、コントロール感を意識しなければならないのはZoom配信に限りません。
「相手」に満足を提供しなければならないのであれば、どんな事例でもそうです。
よく言われるのが料理店の例ですね。
比較的リーズナブルなお店の例であれば食べ終わった後のお皿を置いていると、「お下げします」と言って持っていってくれると思います。
長居されるとお客様の回転率が悪くなる事もあって速やかに下げたいと言うのが本音です。
ですが、同じく下げてくれるにしても、「お下げしてもよろしいでしょうか?」と確認してくれるお店もありますよね。
この例で言えば後の「お下げしてもよろしいでしょうか?」が相手に決定権を与えた状態。
つまりコントロール感を意識した言い方になります。
結果としてお客さんは自分の意思で「はい」や「いいえ」を言うことになりますね。
お店側が思っている事は同じ「はよ帰ってくれ」だったとしても、最終決定をお客様に委ねていることによって自分でいいよって言ったんだからそろそろ終わりにするか。
と言うお客様の中では前向きな気持ちになりやすいのです。
まとめ
今回はコントロール感について書いていきました。
私がセミナーやウェブ配信を最初にしてからもう十数年になりますが、やはり最初の頃は時間いっぱいにプログラムを組んだ上、うまくこのセミナーを終わらしたいと言う気持ちがあって一方的な講義になってしまっていました。
でも、ある時セミナーの最中にプロジェクターの電源が落ちるというアクシデントが起こり、予定通りにできなくなった事があったんですよね。
プロジェクターって高温になるため一度落ちると、冷めるまでそこそこな時間再起動できないんですよ。
ということで、プロジェクターが再起動できるまでプログラムを変更して対話の時間を設けてみました。
そうしたところ、対話の時間がよかったと言う声が多数。笑
と言う結果になり、伝えておきたいことを100%伝える事も重要ですが、お客さんの意思も聞く事も重要。
そんな事を身を持って体験したのでした。
「コントロール感」という単語を知ったのは、そのずいぶん後ですけどね。
満足度をあげるなら「コントロール感」を意識する。
それだけで、同じ講義内容であってもワンランク上になるのです。